





2024.10-11「輪郭を持たないことばたちは、風景の上を回遊する」_HAGISO 展示風景より
庭のいしぶみ
約2年半の間過ごしたアトリエを、引っ越した。大きな窓の先にあるアトリエの庭は、いつでもそこにひとつの世界を形作っていた。庭は、庭として機能する限りそこに在り続けるが、住む人が変わればそこにあったゆるやかな表象はかたちを変えていってしまう。新しい庭の中には、きっとうっそうと草は生えていないし、太陽を遮っていたあの木は切られている。かつて私たちの庭だった場所からは、知っているものは減り、知らないものは増えていく。
草刈りや剪定をした際に捨てずにとっておいたアトリエの庭の草木で炭をつくり、コンクリートに混ぜ込んだ〈庭のいしぶみ〉には、かつての庭の光景が写真として収められている。庭の表象は石碑となり、記憶の縁で再生し続ける。 あの庭はいつでも自由に動きまわっている。
技法:ジェルプリント / 素材:コンクリート、炭、アクリル絵具 / サイズ:144x206mm / 2024